子ども劇場は、60年代の高度経済成長やテレビ時代到来で、子どもの遊び場や遊びのたてわり集団が失われてきたこと、また、あそびやけんか等の体験が少なくなってきたことに対して、何とかしなくてはという親や地域の青年たちによって作られました。
発足は九州の福岡県でしたが、徐々に支持されて全国組織になって子育てに関する情報交換等をおこなっています。
活動の内容には、2つの柱があります。
1つ目の柱は、地方に住んでいてもプロの良い舞台を鑑賞することです。
生の人間の演じる良い舞台は、テレビと違って迫力ある感動を与えてくれます。人間の営みに対する感性も磨かれます。これはなかなか学校教育では磨けない部分かと思います。
ただ、お金も100万単位で要るので、1人の力ではなかなか地方によべませんが、会員制という組織を作ることによって、何とか定期的に良い舞台を親子で鑑賞できています。
伊南子ども劇場では、駒ヶ根市としては初めてバレエ団を呼びましたし、「森は生きている」という児童劇の最高傑作や、三味線の「吉田兄弟」、北野タケシの映画「座頭市」に出てきたタップグループ「ストライプス」にも出あってきました。
これらの舞台を選ぶのも、当日のチケットもぎりや会場準備もすべて親子で楽しく運営しています。
2つ目の柱は、あそびじゅくやキャンプなどの体験活動を仲間とすることです。
現在伊南子ども劇場では、地域の方のご協力で場所をお借りして定期的に山あそびをしています。山が近くにあってもなかなか遊ぶ機会がない子どもたちに、「これは危ない」「このくらいは大丈夫」という野生の勘をとりもどし、自然に対して対応できる子どもたちを育てるには良い活動かと思います。
中高校生は、各子ども劇場の枠を越えた県内での大交流会もあり、それにむけて実行委員会を通して本音で語り合う仲間もできています。長野県は広く、地域で微妙に気性が異なるようで、伊南の子どもたちは長野や上田の子どもたちの積極性にびっくりしていました。
地域にいる大学生や青年も協力して参加してくれて、進路や生き方の相談相手にもなってくれるので、親にはできない部分を補ってくれてとても助かります。高校を卒業して大学に行っても、子ども劇場の仲間が全国にいるので安心しているようです。
できたら自分の子どもにもいつかそのような活動なりなんなりして、自分より年下の子どもや社会に貢献できればいいなぁと密かに思っています。
最近ではバーチャル世代といって、ゲーム等で仮想体験をする子どもたちが増えてきて、人と人のぶつかりあいがなく、人間としての成長がないため、相手を傷つけ、殺人に至る事件もおこしています。
また、子どもをどう育てたらよいか迷う親御さん、子育てをいっそ放棄している親御さんなど様々です。こんなときだからこそ子どもたちも親たちも本音で話せる友だちを求めているように思います。
子育ては仕事以上に創造的で大変だけれど、仲間といっしょの子育てはとても楽しいですし、大人が失ってきた人間性も甦らせてくれます。
たとえわずかでも、知恵と時間とお金と口をだしあって、あなたも子ども劇場の一員になりませんか。